多様性を尊重した
全員活躍の推進
人材の育成
当社の考え方
当社は、従業員の成長は現場の経験によって得られると考えています。従業員一人ひとりが当社のミッション、バリューを自ら体現しようと努力する日々の主体的な姿勢の醸成と、仲間の成長を支援しようとする先輩や上司による仕事を通じた丁寧な指導(OJT)の両輪が、当社の人材育成の根幹です。
当社では、こうした仕事を通じた人材育成を支援し、補完するため、従業員一人ひとりが自己研鑽に努める風土を醸成し、成長のための各種機会を用意しています。
ミッション、バリューを
体現できる人材像
- ● 問題解決力の高い人材
- ● 個人ではなくチームの成功に貢献できる人材
- ● グローバルで活躍できる人材
- ● チャレンジできる人材

当社の取組み
①人事評価システムにおける等級定義
当社の人材育成は総務人事部が主体となり、当社全体の人事評価システムにおける等級定義を定め、各等級に期待するレベルを明文化しています。等級定義は人材育成における目指す方向性を踏まえ、「ミッション、バリューを体現できる人材像」と人事評価の評価基準との間の整合性を図っています。
等級定義
等級 | レベル | 等級定義 |
---|---|---|
1等級 | トップマネジメント | 長期的かつ全社的な視点でゴールを定め、その実現のための計画を策定・推進し、会社全体の目標達成ができる。また、下位者の模範となるとともに、部署横断的な提案・改善活動を行い、会社目標の達成に大きく貢献できる。 |
2等級 | ミドルマネジメント | 中期的かつ所属部署全体の視点でゴールを定め、その実現のための計画を策定・推進し、所属部署の目標達成ができる。また、下位者の模範となるとともに、部署横断的な提案・改善活動を行い、会社目標の達成に貢献できる。 |
3等級 | ロワーマネジメント | 短期的かつ個別的な課題におけるゴールを定め、その実現のための計画を策定・推進し、チームの目標達成ができる。また、下位者の模範となるとともに、自ら進んで提案・改善活動を行い、付加価値のある業務ができる。 |
4等級 | 実務統括 | 担当業務領域を独力で遂行するとともに、部署内・部署間連携や、指導監督を伴った日常業務の統括および推進ができる。また、上位等級の業務へ積極的に貢献できる。 |
5等級 | 自立的担当者 | 担当業務領域において十分な知識・スキルを有し、上位者の最小限の支援を受けながら、担当業務領域に関してひととおり主体的に業務を遂行できる。また、上位等級の業務へ積極的に貢献できる。 |
6等級 | 担当者 | 上位者の支援を受けながら、会社の基幹的業務において基礎的な知識・スキルを発揮し、与えられた範囲内で着実に業務を遂行できる。また、上位等級の業務へ積極的に貢献できる。 |
②TOEIC報奨金制度
グローバルで活躍できる人材を育成するため、TOEIC受験料の補助(回数無制限)、一定の点数を獲得した従業員への報奨金支給を制度化しています。TOEIC報酬金制度で報奨金を受け取った人数は、2021年8月の制度導入以来、2024年6月末時点で累計14名(延べ人数)となります。
規定スコア | 35歳以下 | 36歳以上 |
---|---|---|
750点以上 | 100,000円 | 50,000円 |
825点以上 | 200,000円 | 100,000円 |
900点以上 | 300,000円 | 150,000円 |
③豊富な海外経験の機会
グローバルで活躍できる人材を育成するうえで海外勤務経験は極めて有効であるとの認識の下、2024年6月末時点で、正社員85名中13名が海外に駐在しています。
今後も海外駐在の機会を積極的に設けていく方針です。
労働安全の推進:養殖事業の安全確保にむけた取組み
課題
海面養殖場は沖合に設置されています。養殖魚への毎日の給餌は、通常は給餌船で海面生簀まで行く必要があるため、悪天候時には危険を伴います。当社グループは、養殖を持続可能な事業とするため、養殖事業に携わる従業員の安全性を一層高めていくことが課題であると考えています。
当社グループの取組み
バージ船の導入による給餌作業の改善
当社子会社である日本サーモンファーム株式会社は、2022年秋に日本で初めてバージ船による自動給餌を導入しました。バージ船とは自走しない台船であり、約2週間分の飼料をストックできます。バージ船の導入により、バージ船に飼料をストックしておき、給餌は遠隔操作で行うことが可能になりました。バージ船への飼料補給は気象条件の良いときにまとめて行うことが可能なため、飼料補給を行う作業員の安全性が向上します。
バージ船導入に伴うその他の効果
バージ船を用いて遠隔操作での給餌を実現することで、船の扱いや海での作業の習熟度に左右されずに一定の給餌作業が可能になるため、多様な人材の活用に繋がります。
また、遠隔操作を通じて給餌データの入手・分析をより精緻に行いやすくなるため、給餌ノウハウの蓄積効果も期待されます。
加えて、養殖魚の生育への好影響も期待されます。従来、悪天候下はその日の給餌を断念せざるを得ない状況も発生しており、生育への影響が懸念されることがありました。バージ船の導入により、天候に左右されず継続的な給餌が可能となるため、養殖魚の安定的な生育を実現することができます。
海面生簀の作業スペースの改善
一般に国内で用いられる海面生簀は直径25メートルほどで、作業スペースも限定的なため、比較的不安定な中で作業を行わざるをえません。当社グループでは、国内では製造されていない大型の生簀(直径40メートル)をデンマークから輸入しています。大型の生簀は海の上での安定性が増し、作業スペースも広く取れるため、作業員の安全性向上に繋がっています。
ダイバーシティの推進
背景
日本において人口減少及び少子高齢化は2008年以降の大きな問題となっています。その中でも、当社の創業の地である青森県の人口は急速に減少しており、毎年全国でも1位2位を争う人口減少率となっています。青森県企画政策部の「青森県長期人口ビジョン」によると青森県の人口は2021年時点で123万人ですが、2045年には82万人台まで減少すると予想されています。また、青森県の高齢者割合は直近で33.9%であり、全国平均の28.1%を上回っています。青森県の人口減少の理由としては、県全体の転出超過による人口減少、特に県都である青森市の転出超過が顕著であることです。高校、大学の卒業を機に就職のため県外に出てしまうのが現状ですが、背景として相対的に魅力的な企業が少ないことや求人が少ないこと、賃金が低いことなどが挙げられます。
当社グループの考え方
当社グループでは国内生産活動のほとんどを青森県在住者で担っていることから、事業の維持・拡大のためには、青森県の人口減少や高齢化等の背景を踏まえた、多様な従業員が活躍できる労働環境の整備が不可欠です。
当社グループは、デンマーク子会社であるMusholm A/Sから養殖先進国の知見・ノウハウを取り入れることで、長年過疎化が進む青森県に働きがいのある雇用を創出するとともに、地域や事業の特性を踏まえた人材活躍の取組みを推し進めていきたいと考えています。
当社グループの取組み
当社グループでは、多様な人材の安定的な長期雇用のために、以下のような取組みを行っています。
消滅可能性都市での雇用創出
日本サーモンファーム株式会社のサーモンの養殖場は全て青森県の過疎地域に所在しています。消滅可能性都市と呼ばれる自治体で社会貢献性の高い事業を展開することで、地元の方々が働きに来てくれたり、かつて就職のために転出してしまった若者たちがUターン転職をしてくれたりと、自治体に活気を取り戻すことに貢献していきたいと考えています。
青森本社雇用の多様性
高齢化が進む青森県において、高齢の方々へ安定した雇用場所を提供することは大きな地域貢献であると考えています。転倒防止の為に防滑品質が強化された長靴を支給したり、掲示物は文字を大きくして見やすくしたりするなど、高齢者の方々でも安心して働ける職場環境を構築しています。
また、ベトナムおよびミャンマーからの技能実習生の受け入れも2023年に9年目を迎えます。技能実習生に対しては、機械設備の取り扱い注意表記をベトナム語とミャンマー語で翻訳して掲示しています。若い外国人実習生と地元の高齢者が力を合わせて働き、青森市の郊外という地ではありますが活気に満ち溢れた雇用環境を提供し続けていきます。
国内の養殖事業における多様な人材の活用や安全性の確保
バージ船を用いた遠隔操作での給餌を実現することで、船の扱いや海での作業の習熟度に左右されず、多様な人材が活躍できる機会を創出しています。
また、バージ船の活用や海面生簀の作業スペースの改善により、作業員の安全性が向上することも、多様な人材活用の機会の拡大につながっています。
定性・定量評価
青森県における当社グループでの雇用状況は次の通りです。地域雇用と多様性の確保に努めています。
青森県における当社グループの従業員数(2024年6月末時点)
居住地(現住所地) | 人数 |
---|---|
青森市及びその周辺地域居住者 | 249人 |
西津軽郡深浦町及びその周辺地域居住者 | 7人 |
東津軽郡今別町及びその周辺地域居住者 | 24人 |
合計 | 280人 |
うち、65歳以上 | 16人 |
うち、外国籍(技能実習生含む) | 55人 |
※当社本社に籍を置く従業員数と日本サーモンファーム株式会社の従業員数を合算。
人数には、時間給制従業員も含む。