リスク管理
基本的な考え方
当社グループでは、事業運営上の様々なリスクについて、「リスク・コンプライアンス規程」を制定し、社内横断的なリスク・コンプライアンス委員会を設置してリスク管理等を行うこととしています。
また、海外子会社を多く有する当社のリスク管理においては、子会社の状況把握(リスクの端緒の把握)および子会社への方針伝達が最も重要なポイントであるとの認識の下、体制構築しています。
事業等のリスク
主な事業等リスクとしては、有価証券報告書に記載のとおり、以下を認識しています。
- 1. 気候変動(温暖化)によるリスク
- (1)資源アクセス確保に与える影響
- (2)自然災害の頻度増加と激甚化によるリスク
- 2. 海外事業の拡大に関連するリスク(カントリーリスク)
- 3. 養殖事業に関するリスク
- (1)養殖事業による海洋汚染に関するリスク
- (2)区画漁業権や水利権の維持や新規取得ができなくなるリスク
- (3)養殖用卵の調達に関するリスク
- (4)MSC認証およびASC認証が継続不可となるリスク
- (5)疾病による大量へい死が発生するリスク
- (6)日本国内における養殖ライセンスの導入
- 4. 特定の外注先への依存に伴うリスク
- 5. 原料調達リスク(仕入れ先への依存リスク)
- 6. 製品の安全性について
- 7. 人材の確保、育成について
- 8. 感染症大によるリスク
- 9. 法的規制等について
- 10. 知的財産権に関するリスク
- 11. 短時間労働者の雇用について
- 12. 個人情報の管理について
- 13. 訴訟・係争等について
リスク管理体制
リスク・コンプライアンス委員会
リスク・コンプライアンス委員会(委員長:代表取締役社長)は、社内取締役、監査等委員である社外取締役、執行役員、各部門長、内部監査室長から構成され、当社グループ運営に関する全社的、総括的なコンプライアンス及びリスク管理の報告並びに対応策検討の場と位置付けています。各部門長は担当部門の日常の業務活動におけるリスク管理を行うとともに、日常の業務活動において検出された各種問題事項の内容や対応状況の報告、その他問題提起を同委員会で行っています。
また、必要に応じて、弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家の助言を受けられる体制を整えており、リスクの未然防止と早期発見に努めています。
連結子会社の状況把握および方針伝達
全ての連結子会社については当社から役員を派遣するとともに、「関係会社管理規程」に基づく重要事項については当社取締役会で事前承認を必要とすることとしています。
連結子会社の代表者が参加するグループ経営会議を毎月開催し、決算や予算、その他トピック全般について討議しています。
当社経営企画部を関係会社管理の統括部署と位置づけ、各関係会社の現場レベルとも日常的なコミュニケーションが取れる体制としています。
以上により、子会社の状況をマネジメントレベル・現場レベルの両面からタイムリーに把握してリスク端緒の早期発見に努めるとともに、当社による監督機能の実効性を高めるよう努めています。ここで把握された事項は、リスク・コンプライアンス委員会においても報告されています。
気候変動リスク(災害激甚化リスク)への対応
養殖事業は自然を利用して行う事業のため、自然災害によるリスクに直面しています。
このリスクを完全に回避することはできません。そこで当社グループでは、かねてより養殖場の分散を進めており、「分散」によって、そのリスクを吸収しうるところまで軽減することを方針としています。
また、被災リスクの低い中間養殖場の比重も高めています。中間養殖場は河川を利用して養殖する河川型と地下水を利用して養殖する循環型の2つのタイプがあります。このうち、河川型は河川の氾濫で養殖場も大きな被害を受けてしまうため、被災リスクが相対的に高いと言えます。特に、近年は線状降水帯による被害が多発しており、リスクも高まっていると認識しています。実際に2022 年8 月に青森県深浦町に記録的な大雨の影響による洪水・土砂災害が発生し、これにより深浦町にある当社グループの河川型中間養殖場が甚大な被害を受けました。一方、循環型は被災リスクが極めて小さい養殖場と言えます。国内養殖においては、従来は河川型中間養殖場の比重が大きかったのですが、2024年6月期に青森県今別町に循環型中間養殖場を増設し、より被災リスクの低い循環型中間養殖場の比重を高めました(中間養殖場全体のなかの循環型の割合;約2割→約4割)。今後も、災害激甚化リスクも考慮のうえで、災害に打たれ強い強靭な生産体制を構築していく方針です。
養殖場の数
日本 | デンマーク | |
---|---|---|
中間養殖場 | 3 | 11 |
海面養殖場 | 4 | 3 |

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