持続可能な
養殖への取組み

環境に配慮した
養殖場の運営方針

当社のグループ会社である日本サーモンファーム株式会社では、持続可能な養殖を実現するため、「環境に配慮した養殖場の運営方針」を策定しています。

環境に配慮した養殖場の運営方針

生物多様性の保全:
ASC認証、MSC認証の取得

当社グループは、持続的に水産資源を供給し続けるには環境と社会に配慮した養殖が不可欠であると考え、様々な取組みを行っています。 詳細はこちらをご覧ください。

生物多様性の保全:
FCRの改善

背景

過剰漁業により世界の水産資源が枯渇の危機に直面しています。養殖事業の拡大は、食用としての漁獲に代替するものであり、長期的には天然の水産資源の保全につながりますが、その一方で、養殖事業で使用する飼料には天然魚が一部利用されているという側面があります。

養殖飼料についての考え方

当社グループは、飼料用に漁獲する天然魚以上の量の養殖魚を生産してこそ、養殖事業の意味があると考えています。言い換えれば、持続可能な養殖を実現するためには、1㎏未満の天然魚から1㎏以上の魚を養殖する必要があります。当社グループは、飼料としての天然魚の漁獲を抑えながら如何に養殖量を増やしていくか、様々な観点から取り組みを進めています。

当社グループの取組み

当社グループでは、飼料としての天然魚の漁獲低減に向けて以下の取組みを行っています。

増肉係数(FCR)の低い魚種の選定

FCR(Feed Conversion Ratio)とは、養殖魚の体重を1㎏増加させるために必要な飼料の量を表す係数です。ヒラメのFCRは4、ハマチは6、マグロは12~15になりますが、一方でサーモンのFCRは2以下です。飼料に含まれる魚粉比率は15~50%程度であるため、サーモンは天然の水産資源への負担を抑えながら養殖することができる魚種であると言えます。当社グループでは今後も、海洋資源への負荷の低い魚種を取り扱っていく方針です。

FCRの低減改善

当社グループでは、飼料における天然魚の漁獲を抑えるため、FCRそのものの低減に取り組んでいます。すでに北欧の養殖先進国ではFCR1.2以下とこれ以上の改善は難しいレベルまで進んでいます。一方で当社の国内養殖事業のFCR は1.5程度であり、改善の余地があります。今後も、飼料の改良(※)、へい死率の改善、給餌方法の改善などを通じ、さらなるFCRの低減に取り組んでいきます。

(※)飼料会社と協業し、循環型養殖場に適した飼料、自動給餌に適した飼料、海水馴致への耐性の強くなる飼料等々、様々な観点から飼料の改良に取り組んでいます。

定性・定量成果

FCRの低減状況(日本サーモンファーム株式会社)

継続的な取り組みにより、FCRの低減は進んでいます。

年度 FCR
2019年6月期 2.07
2020年6月期 1.58
2021年6月期 1.52
2022年6月期 1.52
2023年6月期 1.48
2024年6月期 1.61

生物多様性の保全:
魚類ウイルス病防止への取組み

背景

サーモン養殖においてはIHN(伝染性造血器壊死症)やIPN(伝染性膵臓壊死症)といった抗生物質の効かないウイルス性の病気が発生することがあります。ウイルス性の病気が蔓延すると養殖魚や生簀付近に生息する魚類の大量へい死に繋がります。また、感染した養殖魚が養殖場から脱走した場合(逃亡魚)、外部の生態系に悪影響を及ぼすリスクがあります。

当社グループの取組み

ワクチンの開発への協力

魚病への対策としてワクチン開発が有効です。当社グループはサーモントラウトの養殖規模としては国内随一の規模であり、サンプル数も十分確保できます。この特長を活かし、当社グループではワクチン開発会社の行う魚類ウイルス病の治験に積極的に協力しています。

自社養殖魚の魚病防止

当社のグループ会社である日本サーモンファーム株式会社では、魚病を発生させないために次の対策を講じています。

  1. ① 卵の入念な目視

    外部から仕入れた卵が魚病に侵されていないか、専門員が全ての卵を目視して異常の有無を確認しています。仕入先であるアメリカの卵メーカーでも出荷前に殺菌し、当社への搬入時にも再殺菌しています。

  2. ② 稚魚の自社養殖

    外部から仕入れた種苗から魚病が持ち込まれるリスクがあるため、種苗の外部仕入は行わず、全て発眼卵から自社で育成した種苗のみを用いて養殖を行っています。

  3. ③ 敷地内入場者の消毒

    中間養殖場の敷地内に入る場合は、備え付けの長靴への履き替えおよび手と靴の消毒を徹底しています。

  4. ④ 鳥よけ網

    鳥獣類から魚病が持ち込まれるリスクを低減するため、陸上生簀・海面生簀ともに鳥よけのカバー(網)やフェンスを設置し、鳥獣類と養殖魚との接触を防止しています。

以上の取組の結果、日本サーモンファーム株式会社では、2017年の創業以来ウイルス系の魚病は発生していません。

生物多様性の保全:
周囲の生態系の保全

当社グループの考え方

逃亡魚の発生は、野生魚との交配や逃亡魚同志の交配を通じて周辺の生態系に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループはこういったリスクを理解し、逃亡魚の発生防止に向けた施策を徹底するとともに、万一の際に生態系への影響を最小限にできるように取り組んでいます。

当社グループの取り組み対応

生簀から逃げる魚が出ないよう生簀の管理、馴致や水揚げ時の運用には最善の対策をとっていますが、逃亡魚の可能性はゼロにはできません。

そのため、日本サーモンファーム株式会社で扱う養殖魚は全て雌としています。これにより、逃亡魚同志で交配が進んでしまう影響を防いでいます。

水質汚染の防止:
スラッジ対応

当社グループの考え方

中間養殖場では、養殖魚の排泄物などからスラッジ(汚泥)が発生します。日本サーモンファーム株式会社ではスラッジを産業廃棄物として適切に処理しています。河川の水質汚染防止の観点からスラッジの削減による排水改善に取り組むとともに、循環型社会の実現に向け、スラッジの有効活用にも取り組みたいと考えています。

当社グループの取組み

排水改善に向けたスラッジの削減

FCRを改善することで効率よく餌が消費され、糞を減らすことができます。

スラッジの有効活用

日本サーモンファーム株式会社では、ドラムフィルターで回収されたスラッジをスラッジ農業の肥料として活用することを中長期的に目指しています。すでに深浦大峰中間養殖場及び深浦白神中間養殖場にドラムフィルターを設置し、これらの運用試験を進めています。

また、餌を工夫することで排泄物の固さを増し、排泄物をドラムフィルターで回収しやすくしています。

Musholm A/Sにおいては、スラッジを専門業者に引き渡し、バイオガスとして再利用する取り組みも行っています。