サーモン養殖のマメ知識

サーモン養殖と
SDGs

持続可能な養殖とは

世界的に天然水産資源の枯渇問題が深刻化する中、養殖はそれを補うものとして需要は年々高まってきています。しかし一方で養殖には、劣悪な労働環境、ずさんな現場運営、水質汚染、生態系の攪乱など様々な社会問題、環境問題を引き起こすリスクがあるという負の側面があります。養殖の拡大に伴い、このリスクも高まります。もしこういった負の側面が顕在化したら、そんな産業は続けられません。持続可能な養殖とは、こういった養殖の負の側面がしっかり管理された養殖を言います。

ASC認証って何?

環境に負担をかけず地域社会に配慮して操業している養殖業に対する国際的な認証制度として、ASC認証があります。
ASCとはAquaculture stewardship council(水産養殖管理協議会)の略で、環境と社会に配慮した責任ある養殖業の普及に取り組む国際的な非営利団体です。このASCの認証を取得した水産物にはエコラベルを付けることができます。
このエコラベルの認知度は国内で徐々に広がっているものの、世界では既に常識レベルになっており、もはや世界認証といっても過言ではないものです。

ASC認証を取得するには

ASC認証を取得するためには、ASC養殖場認証機関として認定されている機関に審査を依頼する必要があります。
審査は、以下のASC基準の7項目の観点から行われます。環境や社会の面から、幅広く審査が行われます。

  • 国および地域の法律および規制への準拠
  • 自然生息地、地域の生物多様性および生態系の保全
  • 野生個体群の多様性の維持
  • 水資源および水質の保全
  • 飼料およびその他の資源の責任ある利用
  • 適切な魚病管理、抗生物質や化学物質の管理と責任ある使用
  • 地域社会に対する責任と適切な労働環境

FCRの改善も実はSDGs

FCRの改善も実は持続可能な養殖に繋がっています。
養殖に使用する餌には一定割合の魚粉が含まれます。魚粉は天然水産資源を原料としているため、FCRを改善して給餌量が減れば、それだけ天然水産資源の保全に繋がります。例えば北欧の養殖先進国で使用するサーモンの餌の場合、だいたい15~20%が魚粉でできています(日本で使用される餌は25~50%)。FCRが1.5であれば、約0.3kgの天然水産資源から1kgの養殖魚を生産することができるのです。
また、FCRが改善すれば魚粉以外の原料消費も低減します。それによっても食糧需要への対応、排出物削減による環境負荷といったSDGsの達成にも繋がります。