サーモン養殖のマメ知識

サーモン養殖と水

養殖に適した水温は?

サーモンの生育に適した水温は淡水は13~17℃、海水だと11~16℃です。水温が低すぎると食欲がなくなってきますが、サーモンは冷水魚なので比較的低水温には強いです。一方で高水温には弱く、水温が20℃を超えると生育が難しくなります。なので、地球温暖化はサーモンの生育可能地域を狭める結果をもたらすことになります。

水質って生育に
関係あるの?

勿論あります。色々な要素が生育に影響してきます。
例えば酸素濃度。6-10mg/Lが最適です。サーモンは酸素を吸収して餌を消化するので、酸素濃度が低いと餌の消化が進まず、FCRの悪化に繋がります。
二酸化炭素も多すぎるとFCRの悪化、さらにはへい死に繋がります。少ない分には特に問題ありません。
その他、アンモニア態窒素や亜硝酸態窒素はサーモンにとっては有毒ですので、水中の濃度には十分配慮します。

サーモンにも
慣れが必要

サーモンは淡水で1年から2年ほど養殖された後で海面生簀に移されます。淡水から海水に移る段階では、淡水から徐々に塩分濃度をあげて海水の塩分濃度に馴れさせていきます。この作業を日本の場合だと半日程度かけて行います。これを馴致(じゅんち)と言います。
馴致でうまく海水に順応させられなかった稚魚は、へい死してしまったり餌を全く食べなくなって成長しなくなってしまったりします。なので、この馴致の巧拙は養殖の生産性にもとても大きな影響を及ぼします。

海水の塩分濃度って
養殖に影響あるの?

サーモンの血液中の塩分濃度は1%強です。対して海水の塩分濃度は、デンマークの海が1.25~1.5%ほど、日本の海が3%強です。海面生簀のサーモンは、この体内と海水との塩分濃度の差を調整するため、塩分を対外に排出することで体内環境を維持しています。これを浸透圧調整と言います。 デンマークの海の塩分濃度とサーモンの血液中の塩分濃度はあまり差がありません。そのため、デンマークのサーモンは浸透圧調整をする必要性が比較的小さいと言えます。浸透圧調整をしなくてはいけない、これはサーモンにとってはストレスです。日本サーモンファームとデンマーク子会社とでFCR(増肉係数)に大きな差がありますが、原因の一つはこのストレスの差かもしれません。