サーモン養殖のマメ知識

サーモン養殖の
勘所

養殖を管理していくうえで、FCRは欠かせない指標です。ここでは、FCRについて解説します。

FCR(Feed Conversion Ratio)とは

養殖事業において「FCR」を考えることはとても大切です。
FCR(Feed Conversion Ratio)とは「増肉係数」のことで、魚が1kg太るのに必要とされる餌の量をこのFCRで表します。
すなわち、魚を1kg太らせるために3kgの餌が必要ということなら、FCRは3になります。

効率よく太らせることだけでなく、へい死を減らして収穫量を上げることでもFCRは改善(低下)します。
ちなみに、クロマグロのFCRは13~15(※1)といわれ、ブリ類2.8、マダイ2.7、ギンザケ1.5、 牛10~11、豚3.0、鶏2.0(※2)といったところです。マグロや牛肉の価格が高いのは、それだけコストがかかっているということなんですね。

※1 小野征一郎、中原尚知(2009)「魚類養殖業の現状と課題」
※2 水産庁「平成25年度 水産白書」

FCR低減で低価格サーモンを

養殖にかかる変動費の大部分は餌代です。なので、FCRの低減は生産コストの低下に繋がり、低価格でサーモンを消費者にお届けすることに繋がります。

FCRは最適バランスの
指標

FCRは様々な工夫をバランスよく達成する際の指標でもあります。
例えば、魚を太らせようと沢山の餌を与えれば良いかというと、残餌が増えてFCRは悪化します。そのため餌は、最適な量を最適なタイミングで与えるよう工夫することになります。
また、一つの生簀でなるべく多くの魚を育てようとして数多くの尾数を投入すると、酸素不足からへい死が増えて結果としてFCRは悪化します。そのため、へい死率を上げずに尾数を増やす最適な養殖密度を工夫することになります。
こういったように養殖を行うにあたっては様々な検討事項があり、なかには「あちらを立てればこちらが立たず」のようなこともありますが、それらのバランスをFCR最小化という観点でとっていくことになります。

FCR低減のコツ

食べ残しの削減

食べ残しがあるとFCRはその分悪化します。そのため、生簀にいる魚の量を正確に把握し、ちょうど良い量の餌を与えることが必要となってきます。

  • 最新システムで解析

    日本サーモンファームでは、魚の量を正確に把握するために、最新のシステムで解析することも行っています。また、時には水中ドローンや潜水を駆使して食べ残しが無いか直接目で確認することもしています。

  • 水温をチェック

    水温と給餌量の関係も大事です。魚は水温が低いと食欲が減り、水温が高くなると食欲が増します。そのため、給餌量は水温との関係も図りながら餌を与えます。

  • 給餌のタイミング

    1日1食で大量食いが良いのか、1日3食でかつ間食もするのが良いのか、です。

当社ではこれらの要素を総合的に勘案し、これまでの経験で得られた最適解で給餌を行っています。

へい死率の改善

FCRは使用した餌の量を生産された魚の重量で割ることで算出されます。養殖過程でへい死した魚はこの生産重量にカウントされてこないため、へい死魚が多くなるとFCRは悪化します。へい死は様々な要因で発生します。水温、酸素不足、馴致の際のストレス、魚病等々です。それぞれの要因で研究を重ねて改善を進め、その結果としてFCRが改善されるよう、日々努力をしています。