研究開発

当社は、日本初となる大規模サーモントラウト養殖を進めるべく、大学等の研究機関や外部民間企業と共同で研究開発等を行っています。 なお、国内加工、海外加工、海外卸売事業については、新製品の開発は継続的に行っておりますが、いわゆる研究開発活動は行っていません。

研究開発活動の方針
および目的

「海の恵みを絶やすことなく世界中の人々に届け続ける。」という当社のMissionの下、水産資源を持続的に供給し続けるべく、2015年に青森県において日本初の大規模サーモントラウト養殖を開始しました。2018年には「青森サーモン」の水揚げが本格的に始まり、2019年には水産養殖管理協議会(rd Stewardship Council)が管理運営する養殖に関する国際認証制度であるASC認証を取得し、今日に至っています。国内養殖事業自体はまだまだ研究初期段階の事業であると考えており、短期的な利益よりも長期的目線で投資を行っていくべき段階であると考えています。これからも海の自然環境を保全し、養殖業に関わる人々の暮らしを支えながら、世界中に高品質なサーモンを供給し続けるための研究開発を積極的に行っていく方針です。

研究の目的

世界中に高品質なサーモンを供給し続けるうえでは、中間魚の養殖がネックとなっています。すなわち、中間養殖場の適地は限られていることから、現状の方法では中間養殖場不足がボトルネックになっているという状況です。この中間養殖場不足の問題を如何に打開するかは当社の研究開発の主要目的の一つとなっています。
また、気候変動の影響に如何に対処するかという点も大きな課題です。海水温上昇への対応、天候不順でも安全かつ安定的に給餌が行える仕組みの構築等も研究目的の一つとなっています。
その他、高品質のサーモンをより低価格で供給するため、養殖関連システムの開発、餌の開発なども目的とした研究を進めています。

主要課題

  • 屋外循環式の大規模中間育成魚高密度生産システムの研究開発

    屋内循環式の中間育成魚生産システム(従来技術)の課題を解決するため、日本初となる新技術「屋外循環式の大規模中間育成魚高密度生産システム」の開発を継続しています。
    国内サーモン養殖においては、海面生産に必須である中間育成魚の供給不足がボトルネックとなっています。この供給不足(ボトルネック)を解消するため、本研究開発では高密度養殖技術体系とIoT活用による酸素供給自働化システムならびに従来技術 (屋内において少量の水資源で循環生産可能) の利点を組み合わせることにより、屋外の寒暖差が大きい水環境でも周年生産可能かつ中間育成魚の生産の低コスト化と量産化を実現する日本初の新技術を確立することを目指しています。

    現状におきましては、2019年から2020年にかけて、パイロットプラントを自社独自で設計、建設をし、2020年にそのプラントで飼育した中間魚を海面生産へ出荷しています。その後、徐々に飼育量を増やしてきており、さらなる量産化へ向けた次のプラント拡張へ、より良い中間魚並びに効率的かつ環境負荷の少ない養殖を目指していく為の飼料の改善や養殖技術の改善、オペレーションコストの改善について、現在も研究を継続しています。

  • バージ船を活用した大型サーモントラウトの大規模な海面養殖生産の研究開発

    従来、日本サーモンファームにおいては漁船による近接給餌を行っていました。すなわち、漁船で海面養殖用生簀に近接し海上と海中で目視を行いつつ給餌を行う方法です。しかしこの給餌方法は、大規模化による規模の経済が働きにくいことに加え、悪天候下では十分な給餌が行えないリスクや従業員の安全確保が困難になるリスクも抱えていました。
    これらの課題を解決するため、バージ船を用いた遠隔生産管理システムの研究開発を進め、2022年に農林水産業みらい基金の助成を受けてバージ船を導入し、運用を開始しました。引き続き、運用の高度化・効率化に向けて研究を進めていきます。

  • 持続可能な環境負荷の少ない養殖の為の飼料開発

    当社は、ASC認証をサーモン養殖の新規参入ながら試験養殖から4年目で国内初の取得をするなど、持続可能な養殖のリーディングカンパニーとして実際に活動しています。その中で、今後の大規模養殖を見据え、より持続可能で環境負荷の少ない飼料づくりを各飼料メーカーとともに、継続的改善中であり給餌効率の向上や天然漁獲された魚を基にした魚粉率の低下など着実に成果を上げています。今後もこの方向性を堅持し研究開発に取り組んでいく予定です。